マヨイガの後編 |
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| ごく短いですが更新。 後編の1でつ
♪ 我を喪失したかのように、とぼとぼと、帰路を辿っていた。 なにやら重くて大きな荷物を持っていたが、 自分では何が入っているのか、覚えていなかった。 何故だろうか分からないが、それを僕は確認しようと思わなかった。
やがて家にたどり着く。僕たち家族の住む家。 新築で、比較的大きいが、周りの様々な人に借金をして購入建てたため、まだ悩みは多い。
荷物を下ろし、家の中でのんびりと過ごす。 先ほどまで、何か、忘れてはならない大切なことがあったような気がする。 結局、それがなんなのか分からず、僕はつかみようのない曖昧なものの正体を突き止めることを止めた。
なんとなく、家にいても落ち着かない。 何かを忘れているような気がした。
「ちょっと、コンビニまで行ってくるよ」 と、キッチンにいる母に言う。 無言、こくりと首を動かしたのを、後ろ姿から確認。
ドアを開き、玄関からコンビニまでの道を歩く。 家から二十メートルも歩かない程度、父がぼんやりと忘我したように立ち止まっているのを目視。 なにをやってるの、家にかえらないの? おろおろとした表情の父。 やがて彼は、決心したように、同時にすがりつくように 僕に対して言の葉を次々とはき出し、うなだれた。
いつもは文句を言わない父が、暴言をあれほどはいたことが、とても印象的だった。 でも、それ以上に、僕には衝撃的だったことがある。 そう、それは『父が解職された』こと___
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6月1日(木)17:57 | トラックバック(0) | コメント(0) | Novel | 管理
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